SAIKAI FACTORY SHOP

波佐見焼は、長崎県波佐見町で制作されている磁器で、400年の歴史があります。波佐見町は、全国の日用品の約17%を生産する日本有数の焼き物の産地です。シンプルかつスタイリッシュなデザインと機能性が人気を集める一方で、この産地では、B品の扱いが大きな課題となっていました。B品は、日常使うには問題ありませんが、釉薬のムラや不純物の定着、凹みなどが見られる、いわゆるアウトレット品です。少しでもこうした状態がみられる製品は、正規品としては扱えません。また、定価の安いB品の販売には、正規品の価値の低下、購入者が減る可能性といったリスクも生じます。一方で、B品は利益率が高く、安く購入できるという点で購入者にとって魅力的な商品です。さらに、メーカーの観点からみれば、B品の廃棄をする必要がなくなることは最大のメリットといえます。

そこで、私たちは、B品の役割を、ブランドや産地を守り、正規品のファンを増やすことと位置づけ、B品の販売を通して正規品の購入者を増やす戦略を設計しました。B品の購入者層となるターゲットは、定価よりも安価であれば買いたいという欲求を持っている人、または、興味がある、名称を聞いたことがあるという関心度の人を想定。さらに、正規品の販売を阻害しないために、「インターネット販売禁止」「販売拠点は各地域1箇所のみとし、販売数をコントロールする」「B品の箇所や理由を丁寧に伝えること」「次回の購買に繋げるため、正規品販売店の案内をする」「産地の紹介をすること」などのルールを設けました。

販売実績は、表参道ヒルズのセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」で、期間限定ショップとしてオープン（2018年10/4〜10/28）。