LABORATORIAN

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  • för ägg

    Pastry Shop and Poultry Farm

    「美味しい」から「美味しそう」へのイメージ転換

    スウェーデン語で「たまごのために」に由来する店名の「för ägg(フェルエッグ)」は、新鮮なとれたてのたまごを使ったお菓子を提供する洋菓子店です。新潟県糸魚川市にある自家養鶏場で独自開発した洋菓子専用のたまご「ピュアエッグ」を生産し、そのたまごを用いたシフォンケーキ、プリン、ロールケーキなどをメイン商品として販売しています。
    「ピュアエッグ」は、臭いを抑えたフルーティなたまごで、他の素材とぶつからず、たまごの美味しさが際立つお菓子に仕上がります。

    現在、養鶏業においては、市場価格が安定せず、たまごのみの販売による大幅な収益が難しい一方で、鶏の餌代は高騰しています。こうした状況で利益を得るには、一定以上のスケールで運営する必要があり、業界そのものがフェルエッグの規模(飼育数約20,000羽)の養鶏場では利益を出しにくいという構造になっています。
    この課題を改善するためには、同店の商品が、新鮮な素材を活かした質の高いスイーツであることを明確に顧客に伝えることが必要です。提供商品の魅力を最大限に伝え、新しい顧客を増やすことを目標に、弊社プロデュースによるリブランディング、新店舗開発を行いました。

    リブランディングにあたっては、養鶏場と連携し新鮮な素材を用いた洋菓子販売というフェルエッグの既存事業を活かしながら、新規顧客を増やすことを目指しました。同店商品の鮮度の高い素材の魅力に着目し、「美味しそう」を視覚化するというコンセプトを軸に事業戦略を設計しました。
    「美味しそう」の視覚化とは、顧客の商品体験を「美味しい」から「美味しそう」に変えることです。たとえば、「美味しい」は、食べた後の経験であるため、当然ながら食べていない人にはその美味しさが伝わりません。従来は、「美味しい」と経験した人だけが顧客でした。「美味しそう」は、食べる前の期待的経験を表します。「美味しそう」が消費者に伝われば、食べたことのある人だけでなく、新しい顧客の導入が見込めます。このような未来の体験を表したコンセプトを元に、ビジュアルを一新しました。「美味しそう」を伝える具体的なイメージビジュアルとして、ロゴ、パッケージデザイン、Webサイトをリニューアルし、新店舗の設計、開発も実施しました。

    新店舗・上越店は、2020年8月、新潟県上越市の直江津エルマール1階にオープンしました。上越店の設計は、新鮮な食材が集まる市場(マーケット)をイメージした内装とし、主力商品であるシフォンケーキ、プリン、ロールケーキを大きく打ち出したメニューボードを設置しています。また、商品の美味しさを知ってもらう機会をより増やす試みとして、購入しやすい価格帯のテイクアウト用シフォンケーキをメニューに加えました。

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